死亡したらNISA口座ってどうなるの?

ゆるり

ゆるり です。
制度とお金の専門家。
社労士試験合格、
FP2級、日商簿記2級、
年金アドバイザーの資格を所持。
市役所にて約10年間、社会保障制度の運営に従事しておりました。
これまでの経験を活かして、皆さんにお得な制度やお金の情報をお届けします!

ゆるりをフォローする
6贈与・相続

「もしも私が死んだら、NISA口座はどうなってしまうんだろう」

NISAは、投資で得た利益に税金がかからない便利な制度です。

通常、株式や投資信託を売却して利益が出ると、その利益には20.315%の税金がかかります。たとえば10万円の利益が出た場合、約2万円が税金として差し引かれるイメージです。

しかし、ここで注意したいのが、「NISAで増やしたお金は、亡くなったあとも非課税のまま家族に引き継げるのか?」という点です。

結論からいうと、NISA口座そのものを家族が引き継ぐことはできません

また、NISAで保有していた株式や投資信託も、相続財産として扱われるため、場合によっては相続税の対象になります。

今回は、死亡したらNISA口座はどうなるのか、相続税はかかるのか、家族が困らないために何を準備しておけばよいのかを、わかりやすく解説します。

NISA口座は死亡したら終了します

まず押さえておきたいのは、NISA口座は本人専用の非課税口座だということです。そのため、NISA口座を持っている人が亡くなると、そのNISA口座は終了します。

たとえば、親がNISA口座で投資信託を持っていたとしても、子どもがそのNISA口座をそのまま使い続けることはできません。

ここはかなり誤解されやすいポイントですが、NISAは、あくまで本人が生きている間に使うための非課税制度です。家族に資産を残すこと自体はできますが、NISAの非課税メリットをそのまま相続できるわけではありません。

NISAの中の株や投資信託はどうなる?

NISA口座そのものは引き継げませんが、中に入っている株式や投資信託が消えてしまうわけではありません。NISA口座の中にある金融商品は、相続財産として相続人に引き継がれます

ただし、引き継ぐ先は相続人のNISA口座ではありません。基本的には、相続人名義の特定口座や一般口座など、通常の課税口座へ移すことになります。

亡くなるまでに増えた利益には税金がかかる?

ここで気になるのが、亡くなるまでにNISAで増えていた利益に税金がかかるのか、という点です。

たとえば、NISA口座で100万円分の投資信託を買い、死亡時点で150万円になっていたとします。この場合、50万円の含み益が出ています。では、死亡した時点でこの50万円に約20%の税金がかかるのでしょうか。

結論としては、亡くなった時点までの値上がり益に対して、その場で税金が引かれるわけではありません

相続人は、死亡時点の評価額で取得したものとして扱われます。つまり、先ほどの例でいえば、死亡時点の150万円が相続人側の取得価額のような扱いになります。そのため、亡くなる前にNISAで増えていた50万円について、相続人が売却したときにあらためて譲渡益課税されるわけではありません。

ただし、相続後にさらに値上がりした分は別です。

たとえば、相続人が150万円で取得したものとされ、その後200万円に値上がりして売却した場合、相続後に増えた50万円部分については、通常の課税口座と同じように課税対象になります。

つまり、

  • 死亡時点までの値上がり益は「非課税
  • 死亡後、相続人が受け取った後の値上がり益は「課税

と考えるとわかりやすいです。

NISA資産にも相続税はかかる?

次に大事なのが、相続税です。

NISAは、投資で得た利益にかかる所得税や住民税を非課税にする制度です。一方で、相続税は、亡くなった人の財産を家族などが引き継ぐときに問題になる税金です。つまり、NISAの非課税と相続税は別の話です。

NISAで持っていた株式や投資信託であっても、相続財産に含まれます。そのため、預貯金や不動産などと合計して、相続税の基礎控除を超える場合には、相続税がかかる可能性があります

相続税には基礎控除がある

ただし、財産を相続したら必ず相続税がかかるわけではありません。相続税には基礎控除があります。

基礎控除とは、簡単にいうと「この金額までは相続税がかからない」というラインのことです。

相続税の基礎控除額は、次の計算式で求めます。

相続税の基礎控除額

3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、夫が亡くなり、相続人が妻と子ども2人だった場合、法定相続人は3人です。この場合の基礎控除額は、

3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。

つまり、正味の遺産額が4,800万円以下であれば、基本的には相続税はかからないというわけです。

NISA資産があると基礎控除を超える可能性もある

具体例で見てみましょう。

亡くなった人の財産が次のような内容だったとします。

  • 預貯金:2,000万円
  • 自宅などの不動産:2,000万円
  • NISAで保有していた投資信託:1,500万円

この場合、財産の合計は5,500万円です。

相続人が妻と子ども2人なら、基礎控除額は4,800万円です。

すると、5,500万円-4,800万円=700万円 となり、700万円が相続税の計算対象になる可能性があります。

もちろん、実際の相続税額は、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などによって変わります。ただ、ここで大事なのは、NISA資産も遺産総額に含まれるという点です。

NISAは長期運用に向いた制度です。そのため、若いころからコツコツ積み立てていた場合、亡くなった時点でNISA資産が大きく育っている可能性もあります。その結果、預貯金や不動産だけなら基礎控除内だったのに、NISA資産を加えると基礎控除を超える、というケースも考えられます。

家族が困らないために準備しておきたいことは?

NISAの相続で意外と大変なのが、手続き面です。

特にネット証券を使っている場合、家族がそもそもどこの証券会社でNISAをしているのか知らない、というケースがあります。これだと、亡くなった後に相続人がかなり困ります。

NISA口座の資産を相続するには、金融機関に連絡し、相続手続きを進める必要があります。また、相続人の口座へ移管するために、亡くなった人と同じ金融機関に相続人名義の口座開設が必要になる場合もあります

たとえば、亡くなった人がSBI証券でNISA口座を開いていた場合、相続人が普段は楽天証券を使っていたとしても、SBI証券側で相続人名義の口座を用意する必要が出てくることがあります。

もちろん、細かい手続きは金融機関によって異なります。

ただ、少なくとも生前に、

・どこの証券会社でNISAをしているか
・NISA以外にどんな証券口座があるか
・保有している主な投資信託や株式
・相続が発生したときの問い合わせ先

このあたりは、家族にわかる形で残しておいた方が安心です。

NISAは、自分の老後資金を作るためにも役立ちますが、将来的に家族へ残す財産になる可能性もあります。

だからこそ、どこの証券会社を使っているのか、どんな資産を持っているのかを、今からしっかり情報共有しておきましょう。

以上、ゆるりがご案内しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました