生前贈与の2つの方法! 「暦年課税制度」と「 相続時精算課税」って?

ゆるり

ゆるり です。
制度とお金の専門家。
令和7年度社労士試験合格、
FP2級、年金アドバイザーの資格を所持。
市役所にて約10年間、社会保障制度の運営に従事しておりました。
これまでの経験を活かして、皆さんにお得な制度やお金の情報をお届けします!

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6贈与・相続

生きているうちに家族に財産を贈与したい。だけど具体的に、贈与にはどんな方法があるんだろう。

そんなお悩みをお抱えの皆さん。今回の記事では生前贈与を行う2つの方法「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」についてご紹介します。

暦年課税制度って?

1年間に贈与を受けた財産の合計額から、贈与税の金額を計算する制度です。

ただし、贈与額の何%を税金で払わなければいけないかについては、贈与者と受贈者の「関係性」によって変わります。 具体的な贈与額につきましては、こちらの記事で試算しておりますので、よろしければ併せてご覧ください。

ちなみに贈与された財産からは、110万円の基礎控除(年間)が設けられており、その金額内であれば贈与税はかかりません

特例贈与財産用

財産を受け取る18歳以上の人(受贈者)が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与で財産を受け取る時に使用する計算表です。

引用:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

一般贈与財産用

上記「特例贈与財産用」に該当しない場合に使用する贈与税の計算表です。夫婦間、兄弟間などでの贈与が該当します。

引用:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

亡くなる7年以前の贈与には注意!

ただし注意してください。もし贈与者(財産があった人)が亡くなった場合、7年以内の財産については、亡くなった時に相続税の課税対象財産に持ち戻しされてしまうんです。つまり贈与者が生きている間に贈与税を払って終わりというわけではなく、贈与者が亡くなった時に、相続税も納付する必要が出てくる可能性があるというわけです。(贈与税で既に支払った分は相続税から引かれますので、二重課税になることはありません)

ややこしい制度ですのでイメージしにくいとは思いますが、要は亡くなる直前に慌てて贈与でお金を渡すのではなく、元気なうちから計画的にコツコツ、毎年基礎控除110万円以内で贈与をするのが賢い節税方法になる・・・というわけです。

引用:国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

相続時精算課税制度って?

受贈者(子や孫)が2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることができ、贈与者が亡くなったときに相続税で精算する制度です。

利用できる対象者は?

相続時精算課税制度は、利用できる対象者が決められています。

  •  贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の方(父母や祖父母など)
  •  受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上で、かつ、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人又は孫

要するに、現役世代でお金が必要な世代が、高齢になった父母や祖父母から贈与を受けやすくなるような制度です。

ポイントとなるのが「贈与者が亡くなったときに相続税で精算する」という部分。暦年課税制度では、基礎控除110万円を超えた分の贈与税を、毎年そのつど納付する必要があります。ですが、高額な贈与を受けた場合、すぐに税金を全額納付するのは難しいこともありますよね。そんな時にこの相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円までは一旦、贈与税を納めずに贈与を受け、贈与者(親など)が亡くなった時に、相続税として税金を納付するという方法になります。

しかもこの相続時精算課税制度は、2024年より暦年課税制度と同じく、毎年110万円の基礎控除の制度ができました。この基礎控除が新設されたことで、これまでほとんど節税効果がなかった相続時精算課税制度の注目が高まっています。

相続時精算課税制度を利用した時の贈与税は、次の計算式になります。

「1年間の贈与額-110万円(基礎控除)」の累計額-2,500万円の特別控除)×20%

併用することは?

結論から申し上げますと、贈与者が同じ・・・例えば父から子などの場合「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」は原則併用できず、どちらか1つを選択することになります。

ですが贈与者が異なる場合・・・つまりそれぞれ別の人から贈与を受ける場合、併用することが可能です。例えば父と母、両方から子に贈与を行うような場合、父と母それぞれで暦年課税制度と相続時精算制度を選択することにより、基礎控除110万円×2人分=最大220万円の控除を受けることができます!

結局どっちを選べばいいの?

制度の特性が異なるため、どちらがお得なのかは人によって異なります。また、相続時精算課税制度は利用できる対象者は限られるので、必然的に暦年課税制度を利用する必要があります

暦年課税制度がオススメな人

  • 相続時精算課税制度を利用できない人
  • 長期に渡りコツコツと、毎年基礎控除110万円までの贈与をしたい人

相続時精算課税制度がオススメな人

  • 一括で贈与を受けたいが、すぐに納税するのが難しい人

相続時精算課税制度は一度選択すると、暦年課税制度に戻すことはできませんので、特に注意してくださいね!

以上、ゆるりがご案内しました。

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