配偶者がいる方は必見! 年金の家族手当「加給年金」「振替加算」ってどんな制度?

ゆるり

ゆるり です。
制度とお金の専門家。
令和7年度社労士試験合格、
FP2級、年金アドバイザーの資格を所持。
市役所にて約10年間、社会保障制度の運営に従事しておりました。
これまでの経験を活かして、皆さんにお得な制度やお金の情報をお届けします!

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扶養している家族がいるけれど、自分の年金だけで養えるか不安だなぁ。

そんな心配をされている皆さん、年金の「加給年金」と「振替加算」という制度をご存知ですか? 簡単に言ってしまうと、これらの制度はそれぞれ、年金の家族手当とその代わりになる制度です。

今回の記事では、皆さんの年金に上乗せされるかもしれない「加給年金」「振替加算」がどんな制度なのかについて、分かりやすく解説します! なお、この2つの制度は自動的には加算されず、受給するためには申請手続きが必要です。申請手続きについては、こちらの記事で詳しく説明しますので、良ければご参考にしてください。

加給年金って?

加給年金とは簡単に言うと、20年以上の厚生年金期間がある主に夫にあたる方に、扶養している妻や高校生以下の子供がいる場合、自身の老齢厚生年金に加算して受け取ることができる年金制度です。もちろん、夫と妻の立場が逆でも支給されます!

なおこの加給年金は、主に夫が65歳になった時から、妻が65歳になるまでの間、支給されるものです。妻が65歳になると自分の年金を受給できるようになるので、加給年金の支給は停止されます。

加給年金の対象者は?

加給年金が支給される要件は次のとおりです。

なお、今回は話を分かりやすくするため、夫が妻を養う場合を想定して記載していますが、夫と妻の立場が逆でも支給されます。

夫の要件

  • 厚生年金に20年以上加入していること(※「中高齢の資格期間の短縮の特例」を受ける方は15年から19年)
  • 65歳になった時(もしくは定額部分の支給が始まる時)で、養うべき配偶者や子どもがいること

妻(もしくは子)の要件

  • 夫が65歳になった時に、65歳未満の妻、もしくは、18歳到達年度の末日(いわゆる高校卒業)までの子(※子に1級・2級の障害がある場合は、20歳未満の子)
  • 夫に生計維持(扶養)されていることが確認できること
  • 年収850万円未満または所得が655万5千円未満であること

妻が自分の老齢厚生年金を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額の支給は停止されます。

加給年金っていくらもらえるの?

加給年金の金額は次のとおりです。夫が妻を養う場合を想定して記載していますが、夫と妻の立場が逆でも支給されます。

加給年金の金額は、妻と1人目・2人目の子については各239,300円、3人目以降の子は各79,800円です。

また、妻の加給年金の額には、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、35,400円から176,600円が特別加算されます。

引用:日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html

例えば次の例を見てみましょう。

昭和35年4月2日生まれの夫が、昭和40年4月10日生まれの妻を扶養していたとします。その場合、夫が65歳になってから妻が65歳になるまで、毎年415,900円を受給することができます。5年間の総額はなんと2,079,500円! これはかなり大きな金額ですよね!

この加給年金は、妻が65歳になると支給が停止してしまいます。

ですが、安心してください。一部の方は引き続き、「振替加算」という形で、妻の年金額に加給年金の代わりとなる年金が加算されるんです。

振替加算って?

主に夫が受けている加給年金額の対象者になっている妻が65歳になると、それまで夫に支給されていた加給年金額が打ち切られます。このとき妻自身が老齢基礎年金を受けられる場合には、一定の基準を満たした場合、妻自身の老齢基礎年金の額に加算がされます。これを振替加算といいます。もちろん、夫と妻の立場が逆でも支給されます!

振替加算の対象者は?

結論から言いますと、振替加算は昭和41年4月2日以降に生まれた方は、受け取ることができません

支給できる要件はこの他にもいくつかありますが、これから振替加算を請求するための要件は、次のとおりです。(妻と記載していますが、夫と妻の立場が逆でも支給されます)

  • 妻が大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれていること
  • 妻が老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合は、加入期間をあわせて240月未満であること

振替加算っていくらもらえるの?

振替加算の額は、次の表のように、昭和61年4月1日に59歳以上(大正15年4月2日から昭和2年4月1日生まれ)の方については238,600円で、それ以後年齢が若くなるごとに減額していき、昭和40年4月2日から昭和41年4月1日の方については16,033円となります。

引用:日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html

振替加算の金額を知って、皆さんどう思われました?

加給年金の金額と比べて、何だか少ないなぁと思われた方もいるのではないでしょうか? ですが加給年金は妻が65歳になるまでしか受給できないのに対し、振替加算は夫が亡くなっても、万が一離婚してしまっても、なんと生涯受け取り続けることが出来ます!

例えば年額5万円程度しか受給できない人だったとしても、65歳から84歳までの20年間受給したとすると、総額100万円近く受給できる可能性もあるわけです。

対象となる方は、皆さん忘れずに申請しておきましょう!
申請方法につきましては、こちらの記事を合わせてご確認ください。

以上、ゆるりがご案内しました。

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