2025年5月16日「年金106万円の壁撤廃」の年金改革法案が閣議決定されましたが、あくまで今回の記事は現行制度における情報です。今後、閣議決定を踏まえた上で、記事を更新させていただく可能性があります。
会社を退職したけれど、次の健康保険はどうしよう。そんな時、皆さんの選択肢の1つに挙がるのが、「家族の扶養に入る」という方法だと思います。
ですがご自身にパート収入があったり、家族と離れて暮らしていたりする場合、そもそも扶養に入れるのかと疑問に思われる方も多いはず。
私も以前、各組合で「社会保険の扶養に入れるかどうか」を審査するお仕事に携わっていた経験があるのですが、結論から言いますと、健康保険の扶養に入ることができるかどうかの審査基準は、健康保険組合ごとに異なります。ですが、国から一定の基準については定められているので、その基準を満たしているかがポイントとなります。
今回の記事では、健康保険の扶養に入るために必要な要件を、国の基準を元に分かりやすく解説していきます。
社会保険の扶養って?
扶養という言葉には、大きく分けて「社会保険の扶養」と「所得税の扶養」という2種類があり、要件はそれぞれ異なります。
今回説明する「社会保険の扶養」というのは、会社員や公務員として勤める人に扶養されている人(被扶養者)が、保険料を負担せずに、健康保険や年金に加入できる制度のことを言います。
通常、扶養に入らずご自身で社会保険料などを納めると、年間数万円〜数十万円かかります。そうした個別負担がなく、健康保険等の制度に入ることができるのが、社会保険の扶養の最大のメリットであると言えますね。
被扶養者になるための要件は?
大きく分けると、次の2つになります。
- 被扶養者となれる範囲かどうか(続柄・同居別居)
- 被扶養者の収入が一定額を超えていないか
詳しく確認していきましょう。
被扶養者となれる範囲
1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
※同居・別居どちらも可
2.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
① 被保険者の三親等以内の親族(1に該当する人を除く)
② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子
※同居のみ可
なお、後期高齢者医療に加入している方(主に75歳以上)は、社会保険の扶養に入ることはできません。

引用:全国健康保健協会https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/250523/200928/ghifuchousaura.pdf
被扶養者の収入が一定額を超えていないか
被保険者と被扶養者が「同一世帯」(同居して家計を共にしている状態)かどうかで異なります。
●同一世帯の場合
被扶養者が、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合、扶養に入ることができます。
●同一世帯ではない場合
年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの※援助による収入額より少ない場合、扶養に入ることができます。
※仕送り額の基準は、組合によって異なります。事前に仕送りの「金額」「頻度」「確認方法」については十分に確認しておくことをオススメします。 組合によっては、「仕送り額に家賃・学費を含めてはダメ」とするところや、「手渡しでの仕送りは不可」とするところなど、審査基準は様々でした。後々揉めることがないよう、きちんと最初に確認しておきましょう。
パートや副業などで収入がある方は、今回説明した基準に当てはまるかどうか確認して、今後の働き方を決める上での参考にしてみてくださいね!
以上、ゆるりがご案内しました。



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