通勤中に怪我をした! 労災保険ってどんな場合にもらえるの?

ゆるり

ゆるり です。
制度とお金の専門家。
令和7年度社労士試験合格、
FP2級、年金アドバイザーの資格を所持。
市役所にて約10年間、社会保障制度の運営に従事しておりました。
これまでの経験を活かして、皆さんにお得な制度やお金の情報をお届けします!

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7労災保険

通勤中に怪我をしたら、「労災」が下りるって聞いたことあるけれど、具体的にどういう制度なんだろう。途中で買い物したり、飲みに行ったりしてもお金が出るのかな?

なんとなく労災という言葉を聞いたことはあるけれど、具体的に「どんな場合」「いくらくらい」貰える制度なのか知らない人は多いはず。労災給付にはいくつか種類がありますが、今回は「通勤時」に怪我をした場合、どういった制度を活用できるのかについて分かりやすく解説したいと思います!

労災と健康保険って何が違うの?

そもそも労災保険と健康保険の違いって、皆さんご存知でしょうか。

労災保険制度は、労働者が仕事中または通勤が原因で負傷したり、病気にかかった場合に、労働者の請求に基づいて、治療費の給付などを行うものです。労災保険制度で治療などを受ける時、仕事中の怪我については自己負担がありませんが、通勤中の怪我などについては原則200円の自己負担が必要です。

一方で健康保険制度はというと、業務や通勤が原因でない傷病に対して支給されるものです。健康保険制度では原則3割の自己負担が必要です。

どんな時、通勤災害と認められるの?

基本的には「自宅」と「会社」との往復区間でおこった怪我などについてです。ですが仕事帰り、ちょっと一杯呑んでから帰りたい・・・そんな夜もありますよね。

会社の帰り道、駅の近くの居酒屋に1人で立ち寄り、その後自宅へ向かう途中に酔っ払って転んでしまい怪我をした。そんな場合は、通勤災害に該当するのでしょうか。

結論から言いますと、上記のような場合、居酒屋での飲食を挟んだことで通勤経路から外れてしまい、「通勤」とはみなされない可能性が高いと思われます。

ただ帰宅途中、「かかりつけの病院に寄りたいな」「スーパーで買い物して帰りたいな」「介護状態の両親のお世話をしたいな」と思われるケースも多々あるのではないでしょうか。日常生活に必要な行動なのに、通勤中の怪我を恐れてこうした行動を控えてしまうと、生活に支障をきたしてしまいますよね。

そこで国は「通勤災害」について、次のような例外を認めています。

「移動の経路を逸脱し、又は中断した場合」とは

逸脱とは、通勤の途中で就業や通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれることをいい、中断とは、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うことをいいます。

 しかし、通勤の途中で経路近くの公衆便所を使用する場合や経路上の店でタバコやジュースを購入する場合などのささいな行為を行う場合には、逸脱、中断とはなりません。

 通勤の途中で逸脱又は中断があるとその後は原則として通勤とはなりませんが、これについては法律で例外が設けられており、日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、逸脱又は中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。

 なお、厚生労働省令で定める逸脱、中断の例外となる行為は以下のとおりです。

  • 日用品の購入その他これに準ずる行為
  • 職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
  • 選挙権の行使その他これに準ずる行為
  • 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
  • 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的にまたは反復して行われるものに限る)

引用:厚生労働省 東京労働局

通勤災害について

これらを踏まえた上で、次のケースをみてみましょう。

例えば夕飯の食材を買うため、スーパーに立ち寄った場合

帰り道にスーパーで買い物をした場合、店内の棚が倒れてきたりして怪我をした場合は、通勤の逸脱又は中断中の事故なので、労災にはなりません。ただし、買い物を終えて再び自宅に向かって歩いている途中、転んで怪我をした場合には、「通勤」に戻ったと解し、労災が下りるというわけです。

受けられる給付の種類は?

労災保険には、怪我などをして治療を受けるための「療養(補償)給付」から、会社で働けない期間のお給料代わりである「休業(補償)給付」、そして傷病や障害、介護状況などに応じて支給される各種給付、万一死亡してしまった際に支給される「葬祭料」「遺族(補償)給付」など、内容は多岐に渡ります。

  • 療養(補償)給付:業務または通勤が原因となった傷病の療養を受けるときの給付
  • 休業(補償)給付:業務または通勤が原因となった傷病の療養のため、労働することができず、賃金を受けられないときの給付
  • 傷病(補償)年金:業務または通勤が原因となった傷病の療養開始後、1年6か月がたっても傷病が治ゆ(症状固定)しないで障害の程度が傷病等級に該当するときの給付
  • 障害(補償)給付:業務または通勤が原因となった傷病が治ゆ(症状固定)して障害等級に該当する身体障害が残ったときの給付
  • 遺族(補償)給付:労働者が死亡したときの給付
  • 葬祭料・葬祭給付:労働者が死亡し、葬祭を行ったときの給付
  • 介護(補償)給付:障害(補償)年金または傷病(補償)年金の一定の障害により、現に介護を受けているときの給付

怪我や病気は、もちろんしないに越したことはありません。ですがそうは言っても、何が起こるか分からない人生です。万一、望まない怪我をしてしまっても、頑張って働く皆さんを守ってくれる仕組みはきちんとあります。これを機に、労災保険の仕組みについて、是非一度確認してみてはいかがでしょうか。

以上、ゆるりがご案内しました。

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