「月変」ってなに? 給料が変わったときの社会保険料の仕組みをわかりやすく解説!

ゆるり

ゆるり です。
制度とお金の専門家。
社労士有資格、
FP2級、日商簿記2級、
年金アドバイザーの資格を所持。
市役所にて約10年間、社会保障制度の運営に従事しておりました。
これまでの経験を活かして、皆さんにお得な制度やお金の情報をお届けします!

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3健康保険

「昇給したら、社会保険料もすぐに高くなるのかな?」
「給与明細を見たら社会保険料が変わっていたけど、どうやって決まっているの?」

会社員の給与から毎月引かれている健康保険料や厚生年金保険料ですが、実は毎月の給与額にそのまま保険料率を掛けて計算しているわけではありません。

社会保険料の計算には「標準報酬月額」という金額が使われており、給料が大きく変わった場合には標準報酬月額を途中で見直すことがあります
この手続きを、会社では「月変(げっぺん)」と呼ぶことがあります。

今回は、給料が変わったときに社会保険料がどのように変わるのか、わかりやすくご紹介します!

「月変」ってなに?

「月変」とは、「月額変更届」の略称として使われる言葉です。

健康保険料や厚生年金保険料は、「標準報酬月額」という金額をもとに計算されています。
標準報酬月額は、原則として毎年1回見直されますが、昇給や降給などによって給料が大きく変わった場合、次の見直しを待たずに変更することがあります。

これを「随時改定」といい、会社が日本年金機構へ「月額変更届」を提出します。

つまり簡単にいうと、給料が大きく変わったときに、それに合わせて社会保険料の計算のもとになる金額を見直す仕組みということです。

参考:日本年金機構「月額変更届(報酬額に大幅な変動があり、随時改定に該当するとき)」

給料が変われば必ず月変するの?

給料が変わったからといって、必ず月変になるわけではありません。原則として、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 基本給などの「固定的賃金」が変わった
  • 変更後3か月間の平均から計算した標準報酬月額が、これまでと比べて2等級以上変わった
  • 変更後3か月のそれぞれについて、報酬の支払基礎日数が17日以上ある

※特定適用事業所で働く一定の短時間労働者の場合は、支払基礎日数が11日以上となります。

たとえば、基本給が25万円から大幅に昇給し、その後3か月間の給与をもとに計算した標準報酬月額が2等級以上あがった場合などは、月変の対象になる可能性があります。

逆に給料が少し上がっただけで、標準報酬月額が1等級しか変わらなければ、原則として月変にはなりません

参考:日本年金機構「標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。」

「固定的賃金」ってなに?

月変を理解するときに大切なのが、「固定的賃金」です。固定的賃金とは、毎月の支給額や支給率などが決まっている給与のことです。

たとえば、次のようなものがあります。

  • 基本給
  • 時給・日給
  • 通勤手当
  • 住宅手当
  • 家族手当
  • 役職手当 など

基本給が昇給した場合だけではなく、「時給が1,200円から1,300円になった」「新しく住宅手当が支給されるようになった」といった場合も、固定的賃金の変更にあたることがあります。

また、月給制から日給制に変わるなど、給与体系そのものが変更された場合も対象になることがあります。

残業代が増えたら月変する?

残業代が増えただけでは、原則として月変にはなりません

残業手当のように、働いた時間などによって毎月金額が変わるものは「非固定的賃金」と呼ばれます。

たとえば、「繁忙期で残業が増えて、今月の給料が5万円高くなった!」という場合でも、基本給などの固定的賃金に変更がなければ、それだけを理由として月変するわけではありません。

ただし、基本給などの固定的賃金が変更された場合には、変更後3か月間に支給された残業代なども含めた報酬の平均額によって、月変に該当するかどうかを判断します。

参考:日本年金機構

社会保険料はいつから変わるの?

月変の対象になった場合、標準報酬月額が変更されるのは、固定的賃金が変わった後の給与が支給された月から数えて4か月目です。

たとえば、4月に支給される給与から基本給が上がった場合、

  • 4月
  • 5月
  • 6月

の3か月間の給与を確認します。

その結果、月変の条件を満たしていれば、7月から新しい標準報酬月額が適用されます。
つまり、「4月に昇給したから4月からすぐ社会保険料が変わる」というわけではありません。

なお、実際に給与から新しい社会保険料が控除されるタイミングは、会社が社会保険料を当月控除しているか翌月控除しているかなどによって異なる場合があります。

給与明細を見て「いつから変わるんだろう?」と疑問に感じた場合は、会社の給与担当者に確認してみましょう。

月額変更届は自分で提出するの?

月変の条件に該当した場合、「月額変更届」を提出するのは基本的に会社です。従業員本人が年金事務所へ行って手続きをする必要はありません。

会社が給与の変動を確認し、月変に該当する場合は、日本年金機構へ「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届」を提出します。

そのため、私たち従業員としては、「給料が大きく変わった場合には、数か月後に社会保険料も変わる可能性がある」ということを知っておけば大丈夫です。

まとめ

「月変」とは、昇給や降給などによって給料が大きく変わったときに、社会保険料の計算のもとになる「標準報酬月額」を見直す仕組みです。

ポイントをまとめると、

  • 基本給などの固定的賃金が変わることがスタート
  • 変更後3か月間の給与を確認する
  • 原則として標準報酬月額に2等級以上の差があると月変の対象になる
  • 条件を満たすと4か月目から標準報酬月額が変わる
  • 残業代が増えただけでは、原則として月変にはならない
  • 月額変更届は基本的に会社が提出する

となります。

社会保険料は給与から自動的に引かれているため、「なぜ今月から金額が変わったの?」と思うこともあるでしょう。仕組みを少し知っておくだけでも、給与明細がぐっと分かりやすくなります。給料が大きく変わったときには、「もしかしたら数か月後に社会保険料も変わるかも」と覚えておきましょう。

以上、ゆるりがご案内しました。

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